= 5月号画廊 =

現代美術の手法(4)

「和紙のかたち」展

(4/24〜6/6 練馬区立美術館)

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 今月は、東京・練馬区立美術館で現在開催されている、「和紙のかたち」展のもようをお送りします。

 手漉紙造形作家の展覧会が少なくない昨今に於いて、これだけ質・量共に揃った展覧会が他にあったでしょうか?そう呼べるのも幾つかの理由がありますが、挙げてみますと、

  • 最近の風潮であるテキスタイル・アーティストではなく、皆現代造形作家であること。
  • 若手ではなく、皆海外での展覧会においても高い評価を受けてる、実績の豊富な国際的な作家であること。
  • 作風に於いて、その技術に於いて、先駆的且つオリジナル性に溢れ、他の作家の見本となっていること。
 これらはまさに、本展覧会の責任学芸員である練馬区立美術館の横山勝彦氏の狙うところでした。横山氏は、まず昭和の現代造形の動向の中で、和紙の造形作品というのが面白いスタンスを持っているところに着目。近年「現代美術の手法」という館展のシリーズの中で、いつかは採り上げてみたい素材であった、っと言っています。そこで数年前より、旧知であった伊部京子氏などの作家との交流の中で展覧会の人選が始まり、その選定基準がまさに上記の条件であったようです。


 本展覧会の特徴は、ヒトコトで言うならば「“昭和現代造形の写像”を和紙という素材をフィルターにして見る」ことになりましょうか?それほどまでに、高い次元で作品の質が保たれているこの展覧会では、やもすると作品自体が対立するのではと思ってしまうこちらの危惧を一掃してしまう、余りにも静かな展示が心地よい空間を作りだしています。この「余りにも静かな」....言い換えてしまうと、このストイックなまでに作品群が自分の意志表示を全て内面に向けていることが、展示作品群の相互関係に常なる緊張感を持たせているのでしょうか?

 従って本展覧会は、今まで「紙蔵『かゞみ』」でお送りしてきた展覧会とは一線を画しています。少なくとも「和紙」という素材を媒介としていますが、「和紙」そのものが主役ではありません。「造形」の為の有用な、不可欠な素材であることは事実ですが〈初めに和紙ありき〉ではないのです。しかし、表現方法・技法において先駆となった10人の参加作家の作品の表情を見てみると、21世紀に向けての手漉紙造形の将来、引いては手漉紙のあるべき姿を垣間見ることが出来るのではないでしょうか?

 20世紀最後の、そして21世紀に向けて大いなる展望を持たせてくれる本展覧会、是非御覧になって下さい。そして遠方で見ることが出来ない、という方はせめて本サイトの「Virtual Museum Tour」でその臨場感の一端でも、感じて頂けたら本望です。

どうぞお楽しみ下さい。


 最後に、この特集をお送りするに当たって、練馬区立美術館・横山氏には企画・折衝・撮影において全面的なバックアップを頂きました。また横山氏を紹介していただいた伊部京子氏、また作品の撮影を快く受けて下さり、作品の転載などの著作権に問題に真摯にご協力下さった、出展作家の皆様には、この場をお借りして、心より感謝申し上げます。


尚、本展覧会に出展している作家の中で唯一、自分のウェブサイトを持っている井田照一氏のサイトのURLを紹介しておきます。 併せてご覧下さい。
http://www.shoichi-ida.com/


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